法律
学徒出陣という自らの戦争体験から戦後一貫して平和憲法を希求し、個人の尊厳を究極的な価値として自由の基礎法という憲法の存在意義を説いた芦部信喜(あしべのぶよし) さんは、戦後の憲法学を牽引した第一人者でした。 昨年秋に出版された渡辺秀樹『芦部…
信玄公旗掛松事件 大判大正8.3.3民録25-365 【事実の概要】⑴ Xは、山梨県北巨摩郡日野春村の所有地に松樹を所有していた。この松樹は、かつて武田信玄が軍旗を掛けて休息したとの言い伝えがある由緒正しい名木として著名であった(もっとも、その後の樹齢鑑…
宇奈月温泉事件 大判昭和10.10.5民集14-1965 【事実の概要】⑴ 富山県の黒部渓谷にある宇奈月温泉は、黒部川上流の黒薙温泉から全長約7.5kmに及ぶ木管を通して温泉を引いて営業していた。⑵ この引湯管は大正6年頃にA(愛本温泉株式会社)が、約30万円の費用…
フランス革命は、市民が実力を行使して封建制度を打破し、自らの権利・自由を獲得した歴史でしたよね。こうした背景もあって、その後に制定されたフランス民法典(ナポレオン法典)をはじめとする近代ヨーロッパ民法典は、これまでの封建的拘束から解放され…
私たちの私的な生活関係を規律する「民法」というルールは、すべての関係を「権利」とその裏返しとしての「義務」という法的な概念を用いて表現しています。 「権利」とは何かはとても難しい問題ですが、ここでは、他人に対して一定の作為(○○すること)また…
「法学者は今なお法の概念を求めている」イマヌエル・カント(1724-1804)の言葉です。 「法とは何か」という壮大すぎる問いに対して、「法とは○○である」とその本質的な特徴を挙げてこれを積極的に定義することは極めて困難であることを示しています。もう…