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渡辺秀樹『芦部信喜 平和への憲法学』を読む。

学徒出陣という自らの戦争体験から戦後一貫して平和憲法を希求し、個人の尊厳を究極的な価値として自由の基礎法という憲法の存在意義を説いた芦部信喜(あしべのぶよし) さんは、戦後の憲法学を牽引した第一人者でした。

昨年秋に出版された渡辺秀樹芦部信喜 平和への憲法学』(岩波書店,2020)は、芦部先生の人となり、そして学問に対する姿勢など、芦部憲法学をその足跡をたどる評伝のような本となっています。信濃毎日新聞の連載を書籍化したとのことです。 

www.iwanami.co.jp

芦部信喜 平和への憲法学 [ 渡辺 秀樹 ]

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芦部さんが書かれた『憲法』は、先生の死後も、その内容は維持され、脚注に最小限の補訂が加えられて、現在は第7版を数えています。大学の憲法の授業の最もスタンダードな教科書であり、今もなおその大部分は通説的地位にあるといっていいと思います。渡辺さんの本の帯には、この『憲法』で、100万人が学んだと書いてあるくらいです。

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憲法 第七版 [ 芦部 信喜 ]

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現在の憲法学は、ドイツを参照にした議論が主流となっていますが、アメリカ流の憲法訴訟論を導入した先生の業績は金字塔です。死後20年以上たった今も、いまだにこの本を乗り越えられていないといっても過言ではないとも思います。 

それだけに憲法をほんの少しでも勉強したことがある人は、芦部信喜の名前を絶対どこかで見ているはずです。知らないはずはないんです。なのに、前首相は国会答弁で「知らない」って答えてしまったので、日本全土で壮大なズッコケが起こったことで、さらに有名になってしまいました。

憲法改正論議の是非、賛否のどちらかに与するものではありませんが、憲法というものに対する基本的な知識なくして改正ありきの議論がなされているとすれば、それは違うんじゃないかと思いますし、失礼な話だなーって思います。

なんだか真面目になってしまいましたww

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